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発展途上国におけるソーシャルデザイン ビジネス

「デザイン思考(デザインシンキング)」を持つ人々は、一般的なビジネスの世界だけでなく、ソーシャルビジネスの現場でも活躍し、重宝される存在となっています。ソーシャルビジネスとは、日本では社会的企業と訳され、発展途上国における貧困問題、地域コミュニティ再開発、少子化高齢化、育児・教育問題、障がい者支援、環境保護など、解決されなければならない社会的な課題をビジネスの手法で解決することを指します。

LifeStraw
ソーシャルイノベーションの事例「LifeStraw」
実際の発展途上国において、ソーシャルビジネスデザインがどのように活躍しているかを、「LifeStraw」という製品の事例を通じて紹介します。

「LifeStraw」とは、泥水を飲料水に変える携帯用浄水器です。

これまで、途上国における飲料水問題に対してさまざまな支援活動が行われてきました。日本では、世界でもトップクラスの土木技術を用いて井戸を掘ったり、その技術を無償提供したり、大型の浄水器とその動力となる水力発電を設置したりといった支援が行われてきました。

しかしこうした支援活動は継続することが困難であり、持続させることが非常に難しいのです。例えば、日本の高度な技術によって製造された浄水器のメンテナンスには一定の知識と技術が必要です。また、発展途上国にとってその機材は非常に高価なものであり、盗難に遭ったり機能しなくなったりすることもあります。井戸もメンテナンスを怠ると土などで水が濁ってしまいます。

もちろん、日本の支援活動は途上国が自立し成長するために必要な長期的な支援です。しかし、飲料水問題を迅速に解決するには、このような支援だけでは不十分なのです。
そこで、「LifeStraw」はデザイン思考を基に開発されました。製品の背景を分析してみましょう。

飲料水問題は主に次のような問題を抱えています。

– 工業や農業に使える水はあるが、飲料水として利用できる清潔な水がない。
– 毎朝飲料水を取りに遠くの水源へ行く作業が発生する。
– 水を運ぶ仕事は主に子供たちが行っており、彼らは首や手を痛めることが多い。
– 子供たちは水を運ぶために学校に通う時間がない。
– 近隣に飲料水として利用できる水がないため、汚い水を飲まざるを得ず、病気にかかることがある。

こうした問題を解決するため、「LifeStraw」は、「近隣に飲料水として利用できる水がないため、汚い水を飲まざるを得ず病気にかかる人々」を助けることに特化した製品(ソーシャルデザインプロダクト)として開発に成功しました。

「デザイン思考(デザインシンキング)」が発展途上国の問題解決に導く

「LifeStraw」は持ち運びができ、メンテナンスがほとんど必要なく、比較的低価格で提供することが可能です。そして何よりも、簡単に使用できるという点が素晴らしいのです。浄水器でありながら、特別な知識は必要なく、とりあえず水を飲む際には「LifeStraw」を使用するだけで良いのです。また、浄水器の動力は人間の吸引力のみを利用していることも、問題の背景を理解していることを示しています。

このように、「デザイン思考(デザインシンキング)」は、社会問題をシンプルな形に置き換え、解決策を提示する力を持っています。

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