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より高い次元での「デザイン マネジメント」とは!?

より高い次元での「デザイン マネジメント」を理解するために、今回は芸術家とデザイナーの違いを考察してみましょう。

ブルーノ・ムナーリ著の「芸術家とデザイナー」によると、デザイナーとは、審美の眼を備えた設計者であり、共同体のために仕事に従事する者である。
デザイナーは、芸術的な意味合いでの個人的な感情での世界観をもたない。

デザイナーは、さまざまな問題や課題に立ち向かうための方法を持っていると述べています。

一方、芸術家がデザイナーの仕事をするとサービスや製品に自身の信念が息づき、他の人にも伝わることを望むと考察しています。

未だにこの分野はとても混沌として混乱しているが、それは現在進行している「主観的価値」と「客観的価値」の境界線(芸術家とデザイナーの価値思想基準の定義)が曖昧であり、まだ明確でないことが原因です。

そういった理由から、芸術家とデザイナーの違いを一言で言い表すことは難しいが、着眼点や発想の起点が芸術家は「主観的」思考美を追求する傾向にあり、

デザイナーは「客観的」思考で共同体のために、実用と美観という観点でより良いサービスや製品をつくろうとするということである。

したがって、この2つの価値のあり方に着目すると思い描く思考価値が異なることがよくわかります。

「主観的価値 思考」と「客観的価値 思考」の融合(デザイン マネジメントへの補完)

「主観的価値 思考」の芸術家

「客観的価値 思考」のデザイナー

ブルーノ・ムナーリ氏は決してどちらかの優位性を説きたいのではなく、ただ両者にはらむ疑問や矛盾をあぶり出し、

今一度、再考・再構築しようとしているのです。
文章から溢れるそんな彼の視点は、ブルーノ・ムナーリ氏からの”愛”なのかもしれません。

日本ではまだ、芸術家とデザイナーの定義が明確ではなく混同されており、デザインのヒエラルキーの頂点に、芸術性が求められています。(※その理由については今後記事にします)
欧米では、デザインは企業戦略であり経営戦略と位置づけし、そこから導きだされたデザインを実行するデザイン マネジメントを導入したデザインコンサルティングファームが数多く存在しますが、日本の場合は経営者がデザインを経営資源にしていくためのデザイナー選びに不慣れで苦手(デザイン思考・デザインシンキングが苦手)な人が多いという理由もありますが、日本のデザイナーにはデザインを経営資源にしていくという意識がまだまだ低いことも原因として大いにあります。

ブルーノ・ムナーリ著:「芸術家とデザイナー」(みすず書房刊より引用)

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「経営戦略」と「デザイン戦略」のハイブリッドを実行していく時代

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経営者はデザイン思考(デザインシンキング)を理解しデザイナーを経営のパートナーにする(デザインマネジメントを経営戦略にとりいれる)、デザイナーもデザインのお題を提示されるのをただ待つのではなく(オペーレーションや現状に甘んじるのではなく)、もっと大きな視野で志を高く(企業のあり方を理解し経営視点をもって)問題や課題に向き合い、経営資源としてのデザインを提示することができるデザイナーへ進化することが必要です。
この「経営戦略」と「デザイン戦略」の融合(デザイン マネジメント)が、国内でも、世界でも、これからの時代を力強く切り拓いていく企業になります。

これからは、「経営戦略」と「デザイン戦略」のハイブリッドを実行していく時代です。

「経営戦略」とデザイン思考(デザインシンキング)をもった「デザイン戦略」のハイブリッドを実行する(デザイン マネジメント型)組織が増えて、私たちひとりひとりの意識からのアクションが生まれていけば、日本の企業はまだまだ強くなり「陽はまた昇る」と信じてます。

 

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