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「魅力的なアート旅館、板室温泉 大黒屋旅館で非日常を味わう」

栃木県 板室温泉 大黒屋旅館は創業466年の歴史があり、現在16代目が旅館を継いでいます。

2017年10月に一泊して、早朝の散歩中に運よく16代当主に直接お話を聞くことができました。 作務衣らしきものを着て威風堂々とした雰囲気があったことが、私が思わず声掛けした理由です。

 

・日本文化を世界水準にしたい

「466年の歴史を伝える建物と庭園の中に、現代アートを融合させる意図は何か?」

 

上記の私の質問に対して、16代目当主はこうおっしゃっていた

 

「アートは私の代で取り入れたことであって、旅館のPRや趣味のためでやっているのではない。日本文化をどのように高めたらいいかということを考え、3人の子供たちを海外に出し、また自分も3ヶ国行って、日本文化を世界の水準にしたいとの意識を強めた」

この言葉には、揺るがない信念と、燃えるような情熱がありました。

16代目当主のビジョン(板室温泉 大黒屋旅館のコンセプト)に共感して、スタッフの中には陶芸家を志す方や、何かと将来的に芸術家として成功させるといった夢を持った方が集まってくるようです。 大黒屋では美術作品用の倉庫もあり、中には木材と鮮明な色を使ったオブジェが飾られています。旅館内にもアートギャラリーがあり、訪れた方々はとてもリラックスした状態でアート鑑賞を楽しむことができます。

 

・アート作家と共に日本文化が育っていく場を創造する

日本文化を世界水準にする方法として、著名な日本作家の作品を蒐集して展示するのではなく、作家を育て、支援することに徹しようと思った。それは才能を伸ばすツールの提供や専念できる経済的バックアップまた、作家の紹介や作品の展示である。至る所にアート作品としておくばかりでなく、使用する器や調度品、照明等など、何人もの作家のアート鑑賞感覚ではなく、「融合した雰囲気をもつ旅館でありたい」その感覚を独自の方法でお客様も楽しみ、作家たちも育ち、日本文化レベルを高められればいい。

私が宿泊した日は、はじめて香を楽しむ会として「聞香(もんこう)の会」が催されていました。

・聞香(もんこう)の会

志野流、21代宗家 蜂谷 一枝軒 宗苾(はちや いっしけん そうひつ)先生が香道の作法と「香りを聞く」。香道では「香りを嗅ぐ」とは言わず「香りを聞く」という。21代目は精神修行のため、おこなっているとのこと。

香木(こうぼく)は東南アジア植樹され、100年かけて香りの木となる。

自然界の恵みである香木を使用することは自然への畏敬を常にもち励んでいる。香りを聞きながら、大地、自然界の声を聴く。

香道の継承者はわずか二人しかいない。 「香り」で地球を包む、蜂屋宗家の目的と日本文化を世界に広める大黒屋社長はお互い21代目、17代目の後継者の立場で相通じるものがあるのではないだろうか。

聞香(もんこう)の会に参加し、新たにご教示いただいた知識として、五感のうち、四感は大脳に伝達されてるが、嗅覚だけは本能をつかさどる脳幹に伝達する。原始時代は嗅覚が源。だから鼻は顔の中心にある。現代は香りの思い出が少なくなっている。

「聞耳の会」での香りを聞いたのは「柴船(しばふね)」「八ツ橋」「玄宗(げんそう)」作法は「茶道」と同じく、一つ一つの所作が緊張感がある。 「香りを聞いている」数秒間は何とも言えぬ、こころのやすらぎを感じることができた。

 

・粋な時間を過ごす

板室温泉 大黒屋旅館では、16代目当主の意向でアート作品を数多く取り扱うようになります。

旅館に対してお客さまが求めていることはなんでしょうか。きっと旅の疲れを癒やすことが大きなの目的のひとつであるかと思います。 長期休暇を利用して東北に訪れる方もいらっしゃるでしょう。

旅行の際に予定を詰め込み過ぎてはいませんか!?

たった数日しかない休暇の旅行スケジュールを、全て移動と観光に当ててしまい過ぎてはとてももったいないですよね。

五感でじっくりと味わい、時間を贅沢に愉しむ。

「大黒屋旅館の表現のカタチ」

時間をゆるやかに楽しむ余裕をつくることですら日常では限られている現代人にとって、心身ともに癒やされ、新しい発見や刺激のある空間を板室温泉 大黒屋旅館では大切にしているのでしょう。

 

・アート作品の数々

地元のアート関係者の協力も得て、方向性の異なる数々の作品を展示しています。旅館としての活動の範囲を超えて、アートに力を入れているのですが、とてもユニークな作品が揃っています。オブジェや絵を取り扱う作家さんと、うつわ作家という陶芸を扱う作家さんがいます。

板室温泉 大黒屋旅館ではギャラリーといった空間以外に、客室にもそういった作家さんの作品が展示してあります。どの客室も雰囲気が異なるというのがとても楽しいですね。

 

・旅館の成り立ちや今後

16代目として旅館を引き継いだ現社長ですが、実はこういったサービス業はあまり得意ではなく、むしろ苦手なほうだったようです。そのコンプレックスを原動力に旅館として、強みを何か出すことで客層が変わるのではないだろうかと創意工夫をし、ちょっと人と違った視点から場を活かす旅館をつくりあげました。 もっともリラックスした状態で、感性が刺激されるアート作品を見る。自然に囲まれた板室温泉だからこそ為し得た業でしょう。

 

・どんなビジネスにも転機がある

板室温泉 大黒屋旅館 16代目社長は、独自の感性と向き合い、それを一般化(標準化)するのではなく、自身の感性を信じ、さらに磨きをかけて旅館を表現レベルでカタチにしていきました。 普段、慣習法的にそれが正義であるかのごとく求められてきたことは、今後どこかで見直していく必要があるのかもしれません。 発展を遂げていく中で、試行錯誤をしながら行動する。 どんなビジネスにも転機があり、今回ご紹介した板室温泉 大黒屋の例でいうと、旅行者が非日常を味わい、心身ともに現実を忘れる。というお客様と宿の双方を満たす感性がつくりだした旅館とアートの融合がマッチしたと考えられます。 アートの性質上、ほぼ口頭で説明できるものではありません。実際にリアルにその場に行ってみて感性の赴くままに、本能のままに内から外に取り出す。 感性や五感、アートというワードはこれからのビジネスの独自性を打ち出すヒントになりそうです。

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